IPO労務管理と労働基準監督署の調査との関係性について

皆さんこんにちは、IPO労務支援サポーターの
立部です。
今回は「労働基準監督署の調査が入り是正勧告が出されましたが、IPOに影響はありますか

という質問にお答え致します。

労働基準監督署の是正勧告

労働基準監督署は、企業が労働基準法や労働安全衛生法などの労働法令を遵守しているかについて
調査をすることで確認を行います。そしてその調査の結果、企業に対して改善するべき事項、
改善してほしい事項が発覚した時に「是正勧告書」や「指導票」という書面が
交付されることがあります。

「是正勧告書」は労働法令に違反している状況がある場合に交付され、
「指導票」は労働法令に違反しているとはいえないものの、法令の観点から改善が望ましい
という状況の時に交付されます。

特に「是正勧告書」は労働法令に違反している状況の時に交付されるものであることから、
法令遵守が原則であるIPO労務においては極めて大きな問題となります。よって理想としては、
労働基準監督署からの調査が実施された際に、これらの是正勧告書や指導票が交付されることの
ないように日々の労務管理を行う必要があります。

是正勧告された時の影響

ただ、是正勧告書が交付されたとしても、その事実だけをもってIPOができない訳ではありません。

日本取引所グループが公開している「新規上場ガイドブック 上場審査に関するQ&A」によると、
例えば直前期(N-1期)において労働基準監督署から是正勧告を受けた場合という質問に対して、
以下の回答があります。(下線部が抜粋です)

「是正勧告の内容やその後の再発防止に向けた対応が全社的にどう講じられ、上場審査時点での
体制整備が図られているかといった状況も踏まえ、判断を行うこととなります。
よって、過去に一度是正勧告を受けたという事実が、直ちに上場審査上の判断に結びつくものではありません」

上記より、一回の是正勧告書の交付によって上場ができなくなるという訳ではありません。
具体的には企業において以下の事項についての状況を確認されたうえで審査が進んでいきます。

●是正指導された内容の程度
●是正報告が完了しているか
●是正指導された事項に対する原因究明と
全社的な再発防止策が講じられているか
●再発防止策に関する社内での浸透状況 等


ただし注意点として、一度労働基準監督署から指摘を受けた論点について、再び労働基準監督署より
指摘されるとなった場合は、懲りない体質といった印象を対外的に与えてしまいます。
そしてそれは企業が法令遵守への取り組みを軽視していると判断されてしまうこともあります。
そうすると上場審査にもネガティブな影響を与えます。

労働基準監督署の調査対応の注意点

IPO労務における労働基準監督署の調査対応の注意点として、その調査の特徴にあります。
労働基準監督署の調査はそれぞれその管轄している地域単位で行うという特徴があります。
よって複数の拠点がある企業の場合、労働基準監督署の調査が拠点単位で行われることから、企業によっては
本社に連絡なく拠点単位で是正改善を行ってしまうことがあります。そしてその結果、労働基準監督署から
直接是正指導をされた拠点については一定の対策が講じられたものの、本社や他の支店では対策が
されていないというケースが起こることになります。

労働基準監督署の対応とIPO労務における法令対応の違い

先ほど解説しましたとおり、労働基準監督署の調査の特徴は拠点という場所単位で行われることから、
違反が発生したとしても、その拠点の指導に対して都度改善を行うことができれば、通常では
大きな問題に繋がることはあまりありません。

他方、IPOにおける労働法令に関する対応については、拠点ごとではく、企業全体として
「労働法令遵守体制に不備がない」という状態を作ることが必要となります。そしてその状況を市場に対して
公的に表明していくことが主目的となります。そのため、法令遵守の根拠となる各規程、システム及び運用等を
全社単位で構築することが必要となります。

よって、IPO労務管理については、単に労働基準監督署の調査をはじめとした個別の拠点での是正勧告や
個別の労務トラブル等が発生していないというだけではなく、その個別の労務問題の発生を予防するための
管理体制(内部統制)がどのように構築されているかが重要となります。

まとめ

労働基準監督署の調査は、結果によってはIPOに影響を及ぼすことがありえます。
ただし、一回の是正指導だけで中止や延期になるようなものではなく、その指導内容に対し、企業で
再発防止の取り組みがどの程度行われているかが審査上では大きな論点となります。そしてその
再発防止の取り組みが、指導された拠点だけの対応だけでなく、全社単位で再発防止の取り組みを
講じることができているかがとても重要となります。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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